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愼蒼宇「「著者」の一人として岩波書店の就業規則改悪のとりやめを求める」 

(※管理人注:この文章の掲載に関しては、http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-50.htmlを参照のこと)

「「著者」の一人として岩波書店の就業規則改悪のとりやめを求める」
 
                         愼蒼宇(シン・チャンウ)

岩波の就業規則改悪問題が話題になっている。金光翔氏によれば(首都圏労働組合特設ブログ:「岩波書店の就業規則改定案について」)、岩波の就業規則改定案の「論旨解雇または懲戒解雇」の条文(第41条の4)に、「会社および会社の職員または著者および関係取引先を誹謗もしくは中傷し、または虚偽の風説を流布もしくは宣伝し、会社業務に重大な支障を与えたとき」とあり、さらに第41条の7には「会社は、他の職員の懲戒に該当する行為に対し、ほう助または教唆もしくは加担したことが明白な職員については、本人に準じて処分する」とある。さらに、第24条の2には、「会社は、次のいずれかに該当する職員に対し社内への入館を禁止し、または退館を命ずることができる」と定め、その対象のなかに、「会社の風紀を乱し、または乱す恐れのある者」も挙げている。

ここでいう「著者および関係取引先」は、極めて多数に上るのだから、金光翔氏もブログで述べるとおり、岩波の社員は「何も発言するな」と言われているに等しいであろう。これは言論・表現・政治的活動の自由を侵害するばかりでなく、この条文をときの執行権力が極めて恣意的な拡大解釈をすれば、会社の中に異常な相互監視と排除の空間を創り出すことが可能になるであろう。言論を基盤とする岩波のような会社の中で、会社の方針や内実への批判を封じ込めようとする就業規則を作ることは自殺行為に等しい。加えて、このブログの中で紹介されている浅野健一氏のコメントにもあるように、岩波の異常な就業規則の導入が、ほかのメディア企業に広がれば、報道・出版界全体で委縮し、活力を失うであろう。

私は岩波で論文を書いた事がある「著者」の一人として、こうした懸念のもと、岩波書店に就業規則の改悪をとりやめるよう強く求める。

また、この就業規則改悪の問題は、以上の点にとどまらない。金光翔氏の上記ブログに加え、鄭栄桓氏もブログですでに指摘しているように(「岩波書店の就業規則改悪問題と在日朝鮮人への言論弾圧」)、今回の就業規則改悪は、在日朝鮮人の言論活動への弾圧という側面を有しており、それはこれまでの金光翔氏の言論活動に向けられうるものだと考えざるを得ない。金光翔氏は、2007年11月に論文「<佐藤優現象>批判」(『インパクション』第160号、2007年11月)で、佐藤による排外主義的主張の展開(とりわけ、歴史認識の問題、対朝鮮民主主義人民共和国、対テロ戦争に対する)が、いわゆるリベラル・左派によって黙認される現象(〈佐藤優現象〉)に焦点をあてて、そこで中国や韓国の「反日ナショナリズム」論やポピュリズム論、格差社会論を媒介として様々な諸勢力がからみあい、もつれあいながら「集団転向の寄り合い」としての左右合作=「国民戦線」(左右の硬直したイデオロギー対立を超える、を名目に)が形成されることを浮き彫りにしたうえで、在日朝鮮人への弾圧を煽る佐藤優を他でもない岩波書店が積極的に起用することを批判し続けてきた。この指摘は極めて鋭く、私はその内容への賛意を2009年7月28日に書いた(「金光翔氏の<佐藤優現象>批判によせて」)。

そのなかで、私は以下のように書いた。

私は金光翔氏の丹念な読解と実証に基づいた論稿を読み、ここ10年ほどのあいだ、ずっと疑問を感じながらもうまく整理することができなかった、朝鮮問題に対するリベラル・左派の対応の在り方の特徴とその背景をようやく構造的に理解することができました。このような思いは、在日朝鮮人に対する日本社会の右から左にまで幅広く跨る、見えにくくも分厚い「壁」にぶち当たってきた人々には痛いほどよくわかるのではないでしょうか(近年は在日朝鮮人の一部も「日本社会は良くなった」「もう差別はなくなった」という趣の発言を陰に日向にして「重宝」されているために、なおさらその「壁」を告発することは困難になっている)。そして、自分は批判的な立場にいるのであって、マイノリティを抑圧する「壁」の側に片足をかけているなどとは少しも思っていないリベラル・左派の人々やそれに野合する周縁の人々は恐らく金光翔氏の論文に不快感を覚えつつも、表だって反論することはせず、陰で批判をしながら光翔氏を排除しようとしていることでしょう。これは光翔氏の指摘がそれだけ図星であったからであると私は確信しています。

その後、金光翔氏は佐藤優や右派メディアだけでなく、社内からも攻撃にさらされるようになり、その際には、「〈佐藤優現象〉に対抗する共同声明」(2009年10月1日)が128名(2014年2月7日現在)の署名のもとに出された。その後も、岩波書店は金光翔氏に労働条件に関する理不尽で民族差別的な措置をしようとし、そのたびに「岩波書店の出版事業に著者として関わってきた者の立場」から反対の声明や抗議文が出されてきた。この一連の過程を見てみれば、今回の就業規則の改悪案も、金氏の言論活動へのこれまでの攻撃の延長線上に位置付けて考えざるを得ず、その民族差別の執拗さに、深刻な懸念を抱かざるを得ない。鄭栄桓氏と同様、私も、改めて岩波書店に金氏の言論活動の侵害を即刻やめることを求めると同時に、就業規則改悪案への批判に賛同する。

私は「金光翔氏の<佐藤優現象>批判によせて」の最後で、

光翔氏は職場で「嫌がらせ」を受けるリスクを日々引き受けながら、<佐藤優現象>に対する徹底抗戦を今もブログや裁判闘争を通じて続けています。私は改めてその姿勢を支持すると同時に、私も朝鮮近代史研究に携わる人間として、南北朝鮮・在日朝鮮人や他のアジア諸国から起こる「反日ナショナリズム」への批判を媒介とした、リベラル・左派やその他周辺的存在の「集団転向の寄り合い」による、単純な反日ナショナリズム批判やそれと符合する修正主義的な歴史観の展開や、暴力の真相究明や責任追及をあいまいにする「和解」路線、そしてそういう言論や研究を繰り返している研究者や出版人に対しても、強い抗議の意を示していきたいと思っています。

と書いた。あれから5年たつが、こうした現象はさらに深刻さを増しているように見える。だからこそ、金光翔氏の諸論考はさらに説得力を持つものとなっている。私の上記した賛同の意志は、現在も変わらないばかりか、なお強くなっているということを改めて述べておきたい。

さらに、私も岩波書店の出版事業に朝鮮近代史、日朝関係史関係でいくらか関わってきたからこそ、金光翔氏の言論活動を封殺しようとする一連の行為は、在日朝鮮人の研究・言論活動にも抑圧的な影響を及ぼしかねない、という強い疑念を抱いていることをここに表明しておきたい。

2015年3月24日

  • 2015.03.25 00:00 
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